その人らしく生き抜く
ある利用者さんが3年前に病院で嚥下検査して、今後食事は誤嚥性肺炎のリスクが高いため経口での食事はできない言われました。
しかし息子さんは在宅介護を希望し、食べさせる事を選択しました。もちろんそのリスクも承知した上での選択でした。
寝たきりで全介助の状態でしたが、息子さんが状態を見ながら食事形態も変えつつ、結果として約2年間家で食事を食べながら生活しました。
食べさせない安全な選択をするか、リスク承知で食べさせてその人らしく最後を迎えるのか。
医療者はリスクを回避するための選択のみを提示しがちです。ですが、決めるのは本人・家族であり、食事を食べながらリスクを回避するための方法を考え、実践していくのも医療者の大事な役割だと思います。
この利用者さんには吸引器を準備・指導し、言語聴覚療法士によるリハビリを入れて誤嚥のリスクが減らせうよう関わりました。
食事を食べ続けられた一番の理由は、息子さんの献身的な介護でした。
「食べるのが好きな人だったから、最後まで食べさせてあげたい」その選択肢は間違っておらず、その思いが長い間食事を食べられる結果に至ったのだと思います。
息子さんのおかげで、きっとお母さんは最後まで幸せに過ごせたと思います。