摂食嚥下障害について

「食べる」ということは生きていく楽しみの一つです。
食べられなくなると、「食べる」ということに色々な能力が関わっていることがわかります。 必要なことは口・舌・喉だけではありません。
食べるために必要な能力を改善していくために様々な訓練や方法が存在します。
「食べたいもの」を食べることは QOL(生活の質)の向上に欠かせません。安全に「食べたいもの」を「食べる」ために言語聴覚士がサポートいたします。

誤嚥性肺炎

摂食嚥下障害は簡単に言うと食べることが苦手になっている状態です。 高齢の方や脳血管障害の既往がある方がなりやすく、誤嚥性肺炎になる可能性が高い状態です。日本人の死亡率1位は肺炎です。70歳代で3位、80歳代で2位、90歳代で1位となります。70歳代の肺炎のうち誤嚥性肺炎は 70%以上、90歳代では 90%以上が誤嚥性肺炎となっています。小さい変化を見逃さないことが大事です。

摂食嚥下障害のよくある症状
  • 食事中や話す時によくムセる
  • 話すときにゴロゴロと唾が溜まっている音がする
  • 食べ終わった後に口の中に食べ物が残っている
  • 食べた後に熱が出ることがある
  • 食べる量が少なくなり、体重が減ってきた

予防と改善

誤嚥性肺炎で入院になり、その後退院できても、肺炎症状が治まっただけで再発のリスクはそのままということも多いです。 予防や嚥下能力の改善に興味がございましたらご相談ください。

あわーずで訪問リハビリを行った摂食嚥下障害の方の一部を紹介!

あわーずでは様々な利用者様のリハビリを行っています。このページでは、一部ですがどのような方にリハビリを行ったかを掲載しています。

誤嚥性肺炎から胃ろう造設となり、3食経口になったKさんのケース

  • ご利用者の情報
    プロフィール:Kさん(86歳)
    状況:胃ろう
    Kさんは 86歳で奥さんと二人暮らし。 誤嚥性肺炎で入院し、退院時期までに口から食べられなかったので胃ろうを造設しました。 その後、家にかえるにあたり言語療法リハビリを受けることにされました。
  • ご本人の希望
    美味しい天ぷらをもう一度食べたい・・・ 口で味わいたい!
    ご家族の希望
    夫が退院したら自分の手料理を食べてもらいたい。(奥様 / 83歳)
    問題点
    • ・口の中や喉など飲み込みの能力低下。 
    • ・咳をする能力の低下。
    • ・食事の介助、食事の形の工夫が必要。
    @エトセトラ
    • ・舌や口の中、喉の筋力が低下するとうまく飲み込めません。しばらく食べてないと喉の感覚が低下し、食べることも苦手になってしまいます。
    • ・咳が弱いと間違って食べ物が気管に入っても、外に出せなくなります。気管に食べ物が入ったままだと肺炎になりやすいです。
    • ・食べ始めは食べ方や姿勢が大事です。普段の食事と違う飲み込み易い形の食事にする必要があります。
    ケア内容
    リハビリST 言語聴覚士
    飲み込む練習食事の指導
    口まわりの筋力トレーニング舌の筋力トレーニング喉の筋力トレーニング
    食事介助の仕方を指導 管理栄養士と食事形態の指導
    リハビリPT 理学療法士
    咳をする練習
    胸・お腹のトレーニング全身の筋力トレーニング

  • 結果
     介入2年で、胃ろうを使わずに3食とも口からの食事が可能に!!

    また、意欲の改善により、ご本人に新しい希望も。
    「自分の手で食事をしたい! 妻と一緒に歩いてお店にいきたい!
    孫のいる大阪にいきたい! 」

    その後、PTとOTのリハビリで 夫婦で大阪旅行も達成!!

低栄養状態 嚥下機能が低下していたTさんのケース

  • ご利用者の情報
    プロフィール:Tさん(70歳代)
    状況:低栄養・唖全盲・嚥下障害
    Tさんは 70歳代で一人暮らし。唖全盲唖でヘルパーさんを利用して生活していました。
    肺がんになり低栄養状態、身長151cm で体重 30kg。嚥下障害によりよくムセており、ミキサー食・トロミ茶で対応されていました。
  • ご本人の希望
    ご飯が食べられるようになりたい。ご飯を食べて元気になりたい。自分の事は出来るかぎり自分でしたい。
    問題点
    • ・低栄養による全身筋力低下し、トイレに行くのもきつい。 
    • ・咳が弱く、誤嚥したものを出せない。
    • ・口の動きや飲み込む力が低下。
    • ・好き嫌いが多く、食べられるものが少ない。
    @エトセトラ
    • 低栄養状態になると免疫力が低下し病気になりやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクもあがります。また全身の筋肉量が減少するので、飲み込む力が弱くなり嚥下能力も低下して誤嚥しやすくなります。
      食べづらくなることで食事量が減り体重がさらに減ってしまうという悪い循環が起きてしまうので注意が必要です。
    ケア内容
    リハビリST 言語聴覚士
    咳をする練習食べる練習
    呼吸や咳のトレーニング声帯トレーニング口や舌のトレーニング食形態の指導

  • 結果
    米飯・刻み食に食形態UP!! 体重も38kgに!

    ヘルパーさんと車椅子で買い物に行けるまで体力も回復!!

    現在は、入れ歯を作って歯科と協力し、さらに食形態 UPを目指しています。
    体力もついてきたので、PTも介入し一人で買い物に行く練習をしています。

脳梗塞により胃ろう造設で帰宅し、経口訓練を行ったYさんのケース

  • ご利用者の情報
    プロフィール:Yさん(70歳代)
    状況:胃ろう・寝たきり
    Yさんは 70歳代で奥様と二人暮らし。 脳梗塞の後遺症で寝たきりとなり、胃ろうを造設しました。 
    コミュニケーションも不確実ですが、口から食べたいと言う訴えはありました。
  • ご本人の希望
    自分の力でなにか食べたい。
    ご家族の希望
    少しでも口から食べてもらいたい。(奥様 / 70歳)
    問題点
    • ・痰の量が多く、誤嚥性肺炎のリスクが高い。 
    • ・長い間、寝たきり状態で全身の筋力が低下している。 
    @エトセトラ
    • 長い間、寝たきりで体力が下がると口呼吸になりがちです。
      口呼吸になると口の中が乾燥しやすく、痰が多い場合は口の中に乾燥してこびりつき、雑菌が繁殖しやすくなります。
      菌を唾液と一緒に誤嚥すると誤嚥性性肺炎が起きやすくなるので、口の中の清潔さを保つことは誤嚥性肺炎のリスクを減らすことにつながります。
    ケア内容
    リハビリST 言語聴覚士
    口腔ケア – 歯磨き・歯間ブラシで清潔さを保つ
    口の運動 – 口元の筋力トレーニング・唾液を飲む練習
    リハビリPT 理学療法士
    ベッドで起きるトレーニング
    体力をつける呼吸トレーニング
    体が固まらないようにする可動域トレーニング

  • 結果
    リハビリを1年継続した結果、少しづつ痰が減り、唾液嚥下ができるように!!

    また、ケアマネ―ジャー・医師・ご家族と相談して、食べやすいゼリーとトロミ水で練習を開始!!
    すると、リハビリテーション時には数口飲み込みができるようになりました!!

    口から食べることで口腔機能が向上し、QOLも向上しました!