理学療法士

【事例06】円背姿勢の改善や歩行練習により、 ご夫婦で外食に出かけられたケース

ご利用者 80代 / 男性
サポート体制 PT
疾患名 腰椎圧迫骨折、廃用症候群

ご依頼までの状況

複数回の腰椎圧迫骨折後の著明な円背(えんぱい)※1がみられ、活動量だけでなく体力の低下も著しく認められた。
そのため、歩行状態も不安定であり、転倒のリスクが高い状態でもあった。日常生活動作は入浴以外はほぼ自立していたが、 自宅では座って過ごすことが多く、今後の全身状態の低下が予測された。
奥様のサポートで自宅での生活動作は維持できているものの、奥様からは今後の介護に対する不安も聞かれた。

(※1) 円背(えんぱい) ... 脊椎の後方への彎曲が増強した状態。

ご本人の希望

ご本人は温厚ですが口数は少なく、あまり賑やかな場所は好まれない性格であるため、「デイサービスなどは行きたくない」「家でテレビを見たり自分のペースで生活がしたい」 との希望が聞かれた。

ご家族の希望

デイサービスは拒否があったため、家族は運動を促していたが、座って過ごすことが多いため、在宅で定期的なリハビリを行なっていきたいとの希望があった。 しっかり歩けるようになって、外出して一緒に食べたいものを買ったり、お茶が出来ればとの希望を伺うことができた。(スタッフ談)

支援内容

PT:
リハビリでは関節可動域運動、下肢や体幹の筋力運動により、円背姿勢の改善を目指しました。また、転倒予防についてはバランス練習を行ない、体力の向上や安全な歩行ができるよう、自宅内や屋外での歩行練習を実施しました。
運動に対しては、あまり積極的でないため、自宅での自主学練習までは提案しないようにしました。 一方で奥様から生活状況を聴取し、日常生活で習慣的に行なっていること(コーヒーを飲むなど)でご自身が出来そうなことを奥様と検討し、実施していただき、生活のなかで少しでも動く時間を作れるような取組みを行ないました。

身体状況・精神面の変化

関節の可動域や筋力の向上により、円背姿勢が改善したことで、歩行状態も安定しました。徐々に歩行距離も延長し、 基礎体力も向上したことで、奥様と食事に出かける機会も増えました。また、運動量の増加に伴い、定期検査では骨密度の改善も認められました。

ご利用者・ご家族の声

体力がついて歩行状態も安定し、一緒に外食に行く機会が増えました。外食では好きなものを食べられるため、表情もよく食事量も多くなりました。今後も一緒に食事に出かけられるように運動を頑張ってほしいです。
家では、危険なこともなく安全に生活 が出来ています。今の状態をなるべく維持して、できるだけ長く、家での生活ができるように運動を継続してほしいです。