作業療法士

【事例13】病気に対する不安な気持ちに寄り添い、 笑顔がみられるようになったケース

ご利用者 70代 / 男性
サポート体制 OT
疾患名 筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、頚髄症

ご依頼までの状況

奥様と二人暮らし。1年ほど前に筋萎縮性側索硬化症の診断を受けられ、徐々に全身の筋力低下が進んでおり、歩行はT字杖を使用している。さらに頚髄症の後遺症により、右足の異常筋緊張や筋力低下がみられた。
日常生活動作は、入浴介助以外は自立している。精神機能面では、認知機能は正常だが、進行性の病気による不安が大きく、鬱々とした日々を過ごしていたという。
通所サービスを利用していたが、体力的に通うことが辛くなり、訪問開始となった。

ご本人の希望

今後歩けなくなることや動けなくなることなどが不安。どうしたらいいのか。デイサービスは疲れてしまうので行きたくない。

ご家族の希望

病気は進むので仕方ないが、できるだけ身の回りのことは自分でしてほしい。家では動かないので、運動を促してほしい。

支援内容

OT:
週2回で訪問を開始しました。介入当初は屋外歩行が可能だったので、できる限り自宅周辺での屋外歩行を勧め、活動性の維持に努めました。病気に対する不安があるため、よく傾聴・共感し、お気持ちに寄り添いながら疾患に対する理解を深めるような助言を行なっています。
半年くらい経つと、徐々に病気の進行が見られ、杖歩行に対する不安を訴えられていらっしゃいましたので、担当ケアマネージャーや福祉用具業者の方と相談し、歩行器に変更しました。
また普段座っておられるソファーから立ち上がりが難しくなってきたため、レンタルで立ち上がり用の手すりなどを勧めました。呼吸機能や嚥下機能の低下も懸念されますので、 呼吸・嚥下の訓練も追加で実施しています。

身体状況・精神面の変化

病気の進行に応じて、福祉用具の選定などの環境調整、リハビリメニューの変更により運動負荷の調整などを行ないま した。進行性の病気のため、緩やかに筋力低下が進んでおり、 1年半経っても屋外歩行はできない状況だった。一方自宅内の移動や日常生活動作の介助量は大きな変化はなく過ごされています。病気に対する不安はあるものの、訪問時は笑顔も見られ、他愛のない会話を交わしています。

ご利用者・ご家族の声

今後どうなっていくのか不安はありますが、相談できる人がいたり、身体を見てくれる人がいると幾らかは安心できま す。多分リハビリをしていなかったら、もう歩けなくなっていたかもしれませんし、食べるのも難しかったかもしれませ ん。本当に有り難いと思っています。